WeChat公式アカウント(微信公众号)の種類と活用について

中国版のLINEと呼ばれ、中国を中心に9億人以上の人々が利用するコミュニケーションAPPのWeChat(微信)。個人は携帯電話番号があれば、簡単にアカウントは取得でき、個人間のやり取りは自由にできるのですが、企業として登録する場合は、公式アカウント(微信公众号)を申請する必要があります。

公式アカウントには、基本的には購読アカウント(订阅号)とサービスアカウント(服务号)の2種類があります。以下、酒類と登録方法及び費用、活用方法について整理しました。

※写真は上海で撮影したWeChat公式アカウントの屋外広告です。



購読アカウント(订阅号)について

簡単に機能をまとめると以下の通りです。

配信回数 毎日1回の配信が可能
表示場所 订阅号という一つのボックスの中

つまり、毎日配信できる利点がある一方、フォロワーのチャット画面のトップには表示されず、第二層表示となるため、気付かれにくいという欠点があります。一長一短です。イメージは以下です。

サービスアカウント(服务号)について

簡単に機能をまとめると以下の通りです。

配信回数 月4回のみ
表示場所 個人間のチャットと同じ画面

つまり、配信回数は制限されるものの、チャット画面のトップに表示されるため、既読率は高くなりやすくなります。一長一短です。イメージは以下です。

公式アカウント開設方法及び費用

中国法人があれば、WeChatの公式ホームページからの申請が可能です。費用は年間費として300元程度。問題は、日本法人しかない企業ですが、日本法人名義での開設は可能ではあるものの、一般開放はされていないため、WeChat Payの代理店に相談されるのがよいと思います。費用は年間費が300USドル程度、それに加えて代理店による開設代行費が発生すると思います。既に大手百貨店や空港の日本法人名義のアカウントは確認できています。

公式アカウント活用方法について

9億人以上のユーザーを抱えているWeChatですが、WeChat公式アカウントを開設したからといって、その9億人にリーチできるわけではありません。開設はゴールではなく、苦難のスタートであるとも言えると思います。如何にフォロワーを増やしていくかは、非常に頭を悩ませる問題なのです。

中国人観光客の来店が多い店舗は、店頭でノベルティ等のプレゼントを条件にフォロワーを獲得できると思いますが、帰国した観光客に対して、メッセージを配信したところで、再来店に繋がるかは謎です。中国人観光客の来店がまったくないお店やメーカーは、思わずシェアしたくなるような記事を作って、フォロワーからフォロワーへの拡散を期待したいところですが、コンスタントに拡散する記事を作成することは容易ではありません。

facebook、Twitter、Weibo然りですが、SNSのアカウントは開設してから、どのようにフォロワーとファンを増やしていくのか、非常に手間と時間を要するものなのではないかと思います。後ろ向きな考えになってしまったのですが、中国語で人気を集めるということは、日本語以上に覚悟のいることだということをお伝えできればと思いました。




編集後記

勝手な所感で毎度恐縮です。理想的な公式アカウントの活用方法をここでは述べたいと思います。リアル店舗があって、越境ECに取り組む日本企業には、有効な活用方法があると思っています。

来店した観光客を囲い込む手段として、店頭でフォロワーを促し、帰国した観光客に対しては、記事として越境ECの情報を流し、リピートは越境ECで可能であることを伝える。そうすると、店頭でノベルティを配って、フォロワーを獲得したり、WeChatのタイムライン広告を使ったりしても価値があると思います。

中国人観光客に対しても、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)という概念で向き合うことで、顧客獲得に対する投資は可能となるのではないでしょうか。一方で、店舗もなく、越境ECもない企業のアカウント開設はかなりしんどいと思います。